四季折々季節を感じる行事を、今一度そのルーツや意味合いを知り、お子さまと一緒に楽しむきっかけを作る【年中行事シリーズ】、3月号です!
まずは今月も、二十四節気から。
二十四節気
- 啓蟄(けいちつ)(3月5日ごろ)2019年は3月6日
冬ごもりで土の下に隠れていた虫やカエルなど生き物たちが、暖かさを感じて地上に出てくることを意味します。本格的な春の到来が迫っていることが感じられる時期。 - 春分(しゅんぶん)(3月20日ごろ)2019年は3月21日
この日、太陽は真東から出て真西に入り、昼夜の長さがほぼ等しいとされる日。この日から夏至まで、昼がだんだん長くなり、夜が短くなります。
3月の年中行事
3月におこなわれる、主な年中行事をご紹介いたします。
⚫️ひなまつり(3月3日)⚫️
言わずと知れた女の子のお祝い、「桃の節句」ともいわれる行事です。ひな人形を飾り、ひし餅やひなあられ、白酒、桃の花などを供えて祀ります。
しかしこの当たり前のように毎年迎えているひな祭り、ルーツをご存知ですか? ルーツは300年頃の古代中国、「上巳(じょうし/じょうみ)節」にさかのぼります。「上巳節」は、3月上旬の巳の日という意味で、季節の変わりめには邪気が入りやすいと考えられていたため、この日に水辺で汚れを祓う習慣がありました。この行事が日本に伝わり、汚れを祓うために人形で自分の体をなでて、その人形を自分の身代わりに川や海へ流すようになった。今も「流し雛」として、この形がのこる地域もありますよね。
季節の節目の邪気祓い行事として、老若男女を問わず皆の健康と幸福を願う行事だったんですね。のちに江戸幕府によって、5月5日の「端午の節句」が男の子の節句であるのに対し、3月3日を「桃の節句」とし、女の子の節句として定着していったようです。そして、人形も、技術が発達して高級化してくるにつれ、川に流すのではなく部屋に飾るものへと変化してきたようです。
ちなみにひな人形は、姉妹であっても、それぞれひとりにひと組用意するようにしましょう。スペース的に同じ形状のものをそろえなくとも、片方はつるし雛にしたり、立ち雛にしたり、と変化をつければ、お部屋の装飾も楽しくできそうですね。
なぜ、「桃の節句」?
ひなまつりは、「桃の節句」とも言いますが、これはなぜか・・たしかに桃の季節、でもありますが、理由はそれだけではないようです。
桃は昔から邪気を払う力があるとされていたのです。邪気を払い、これからの健やかな成長を願うイベントにはぴったりですね。
ちなみに、邪気の象徴が「鬼」ということもあり、この鬼(邪気)と桃(邪気を払うもの)の関係がベースとなり、桃太郎のストーリーが生まれたとも言われています。
ひなまつりの食卓といえば
「ひな祭り」といえば、ちらし寿司とハマグリのお吸い物です。ハマグリは、対である貝殻しか絶対にピタリと合わないことから、将来相性のよい結婚相手と結ばれ仲睦まじく過ごせるように、という願いが込めれらています。
ちらし寿司はとくに由来はないようですが、見た目に華やかであることと、縁起のいいものがたくさん入っていることからひな祭りの食卓に並べるものとして定着したようです。具であるレンコンは「見通しがきく」、エビは長寿の象徴、そこに、みつばや菜の花、玉子、にんじんなど彩りも華やかに、春先の行事にはぴったりですね。
◀︎ちらし寿司をケーキに見立てて、サーモンやイクラを添えて、いっそ華やかに、かわいらしく盛りつければ、これだけで食卓が特別なムードになりますね!
サーモンや鯛などお刺身をお花のように重ねて盛り付けるのは、ぜひとも取り入れたい技!
乾杯には白酒や甘酒、本格的な桃花酒
子どもたちもこの時期、幼稚園や保育園で習ってくるのか、「♪あかりをつけましょぼんぼりに・・・」と、うれしいひなまつりの歌を口ずさんでいませんか? 昔からひなまつり定番の歌ですよね。この歌の2番の歌詞では、白酒で顔を赤く染めた右大臣が出てきます。
金のびょうぶに うつる灯(ひ)を
かすかにゆする 春の風
すこし白酒 めされたか
あかいお顔の 右大臣
昔から、ひな祭りには白酒が欠かせないものでしたが、もともとは、「桃」が百歳をあらわす「百歳(ももとせ)」に通じることから、桃の花を日本酒に浮かべた桃花酒(とうかしゅ)を飲む風習があったようです。その後江戸時代に入ってからは、白酒が好まれるようになったそうです。
白酒とは、蒸したもち米に、みりん、または米麹と焼酎などを混ぜて仕込み、約1カ月間熟成させた後にすりつぶして作られたもの。甘みが強く、と同時にアルコール度数も10%前後と比較的高く、酒税法上ではリキュールに該当します。
甘酒、なら、ノンアルコールでお子さまでも楽しめます。こちらはご飯やお粥に米麹を混ぜて一昼夜55度前後で保温し、デンプンから甘い糖分を引き出したもので、アルコール度数も1%未満、お酒には該当しません。ちなみに今では甘酒は寒い冬に飲む印象が強いのですが、実は夏の季語になっています。江戸時代、甘酒売りは氷で冷しながら甘酒を売っていたそうで、夏バテ防止の栄養ドリンクとして親しまれていたようです。
今年はお父さまお母さまは白酒で、お子さまには甘酒で、本格的に乾杯してみてはいかがですか? 桃の花をそれぞれに浮かべてみても素敵ですね。
菱餅、ひなあられの色に込められた意味


それぞれ色にまで込められた意味合いを知ると、よりいっそう、自身の想いや願いと重ね合わせて、心を込めて飾ることができますね。
▶︎▶︎子どもと楽しむ「ひな祭り」のアイディア
一年に一度の、せっかくの女の子のための節句、週末の食卓にちらし寿司やハマグリのお吸い物、ひなあられなどを並べて、主役のお子さまは着物や袴でドレスアップしちゃいましょう! 七五三や卒園式などを控えているお年頃のお子さまなら、セレモニーも視野に入れて新調したり、もしくはすでにお持ちの着物や袴を着る新たな機会としてもおすすめですよ。いつものひな祭りも、今年はフォトジェニックな記念日になること間違いなし!
⚫️ホワイトデー(3月14日)⚫️

世界のホワイトデー

⚫️お彼岸(3月20日ごろ)⚫️
「彼岸」は春と、秋にあります。春分の日と秋分の日をそれぞれ真ん中の日とし、前後3日、計7日間のことを、「彼岸」と言います。2016年は春分の日が3月20日であるため、彼岸入りがその3日前の3月17日、彼岸明けは3日後の23日、ということになります。
春分と秋分の日は、太陽が真東から昇って真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになり、春分以降は昼が長く、秋分以降は逆に、秋の夜長に向かいます。
お彼岸のお墓参り
「彼岸」とはもともと仏教用語で、生死の海を渡って到達する悟りの世界を「彼岸」、その対岸にある、迷いや煩悩に満ちた私たちの住む世界を「此岸(しがん)」と呼びます。彼岸は西に、此岸は東にあるとされており、太陽が真東から昇って真西に沈む秋分と春分は、彼岸と此岸がもっとも通じやすくなると考えられ、先祖供養をするようになりました。このお彼岸の文化は、日本独自のものです。
⚫️イースター(3月末~4月末のどこか)⚫️2019年は4月21日!


イースターって何をする?
一般的に欧米では、クリスマス同様、家族でご馳走を食べてお祝いするそうです。卵を使った料理や、ゆで卵がふるまわれたりするのだとか。
また、イースターエッグと呼ばれるカラフルに染められたゆで卵を家や庭に隠して探しあてさせるエッグハント、卵を割らないように転がして遊ぶエッグロール(卵転がし)、スプーンに乗せた卵を割らずに誰が一番早く運べるかを競うエッグレース、といった、子どもの遊びもあります。
卵は「生命のはじまり」を象徴しているため、イースターでは象徴的なアイテムとして扱われているのです。またウサギは、たくさん子どもを産むことから、豊かな生命の象徴とされています。
キリスト教徒にとっては神聖な大切な日。ゆかりがない人も、その意味を知ったうえで春のお祝いとして、イースターを楽しみたいものですね。
イースターパレード in New York
ニューヨーク五番街では、毎年イースターパレードが行われているそうです。歩行者天国になった通りに、カラフルな花やイースターエッグを飾り付けた帽子、「イースター・ボンネット」をかぶったり、イースターバニー(うさぎ)に扮したりした人々が入り乱れるイベントなようです。「仮装」といえばハロウィンがあるので、どちらかというと、きれいに着飾ったり、正装+イースターボンネットでおしゃれする人が多いのだとか。春の到来にもふさわしい、見た目にも華やかなイベントですね!
▶︎▶︎子どもと楽しむ「イースター」のアイディア①
週末や春休みをいかして、お友達とイースターパーティーをしてみてはいかがですか? 口実はなんだって(笑)、お友達とこの時期にパーティーするなら、カラフルな色がテーマのイースターはもってこい! かわいくパステルカラーのお洋服をテーマに集まったり、卵料理をメインにした持ち寄りランチパーティーや、市販のイースター限定おやつを用意しておやつパーティーでも、手軽に春のお祭り気分を楽しめますょ。
このほか、コアラのマーチやパックンチョ、カントリーマアムなどおなじみスナックも、イースター限定パッケージのものが出るようです。お買い物のさいにぜひ探してみてくださいね!
▶︎▶︎子どもと楽しむ「イースター」のアイディア②
パステルカラーや、ウサギ、卵、といったモチーフをテーマに、お部屋を装飾しましょう。
卵型に画用紙を切り、そこにお子さまに絵を描いてもらったり、シールやマスキングテープ、折り紙をちぎったものなどでデコれば、お部屋も華やぐかわいいインテリアになりますょ。
▶︎▶︎子どもと楽しむ「イースター」のアイディア③
テーマパークへ、街へ、春を探しに行きましょう! イースターのイベントといえばやはりメジャーどころは、東京ディズニーリゾートやUSJですね。ただでさえわくわくがたくさんなテーマパークも、イースターともなれば華やかさも一層増し、春を感じるにはもってこい! ぜひ、パステルカラーのチュチュをはいたり、フラワーティアラや華やかなハットの飾りを身につけて、春気分を満喫して!
3月は年度末ということもあり、進学や進級、新しい環境への準備、と何かと忙しい季節ですが、新生活と共に、本格的な春の到来へ期待も膨らむ時期でもありますね!
今年はぜひ何かひとつでも、季節を感じる年中行事を新たに取り入れて、お子さまとの日常をさらに楽しんでみてくださいね。